『カルメン』に酔う――あらすじ・見どころ・名演

『カルメン』に酔う――あらすじ・見どころ・名演

『カルメン』は、元々はオペラのために作曲されました。その華やかで印象的な曲が様々なメディアで使用され、今やクラシック音楽の域を超えて知られています。
オペラだけでなく映画、バレエなど展開例は多く、またフィギュアスケートでも多くの選手が使用し、印象的なプログラムを見せています。

今日は『カルメン』について、その魅力のあれこれをお伝えできればと思います。

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『カルメン』の物語って?

オペラの元となったのは、フランスの作家メリメの小説です。
主人公の山賊がカルメンという情熱的な女性に振り回され、犯罪に荷担しついには死罪となるというのがあらすじです。
が、オペラを上演する劇場は、主人公が盗賊であることに難色を示しました。

改変されたオペラで主役を務めるのはドン・ホセ伍長。
けんか騒ぎを起こしたカルメンを護送するホセですが、カルメンに誘惑され、その色香に迷い逃がしてしまいます。
ホセはどんどん彼女に惹かれていき、婚約者も袖にし、カルメンを巡って上司と揉め、カルメンの仲間の盗賊団一味に入ります。

そこへ闘牛士エスカミーリョが登場し、カルメンを巡る恋のさや当てが始まります。婚約者のミカエラもホセを追ってきて、ホセの母親が危篤と告げ、やむを得ずホセはその場を去ります。

思いが募るばかりのホセ、しかし移り気なカルメン。心が離れてしまったカルメンに、よりを戻さなければ殺すと脅すホセ。
カルメンは、自分は自由に生まれ自由に死ぬと言い放ちます。
ホセは逆上し、ついにナイフをカルメンの胸へと――。

心の赴くままに生きるカルメンに対して、人間の弱さを垣間見せるホセ。また男性的魅力に溢れた闘牛士エスカミーリョに、か弱い女性の典型のようなミカエラ。

登場人物の性格もはっきりしていて感情移入しやすく、しかもわかりやすいストーリーと心躍るような音楽で、『カルメン』は人気の名作オペラとして今日も上演され続けています。

オペラ『カルメン』の名曲たち

『カルメン』には有名なアリア(オペラのソリストが歌う独唱曲)や、器楽曲がたくさんあります。

アリアとして一番有名なのは、カルメンが歌う『ハバネラ』でしょう。
恋は野の鳥、誰も手なずけられない……そんな歌詞で始まり、半音階でつづられる妖しいメロディは、カルメンの奔放な愛し方を見事に表現しています。

そして『闘牛士の歌』これはエスカミーリョのソロに、後半は合唱が加わります。勇ましく男らしいメロディが印象的ですね。

フルートの名曲としても名高い『間奏曲』は、第3幕へと移る時に奏でられる、穏やかな美しいメロディです。

こうした名曲を連ねて、幾つもの組曲が編まれ、管弦楽曲として演奏されています。
また数多くの作曲家が、ビゼーの曲をアレンジをしていますが、中でも『ツィゴイネルワイゼン』で有名なサラサーテの作った『カルメン幻想曲』は、ヴァイオリンでよく演奏されるナンバーとして人気があります。

フィギュアスケーターたちと『カルメン』

毎シーズン誰かが『カルメン』を滑っている、とさえ感じるくらいに、フィギュアスケートでは『カルメン』の曲が何度も使用されています。

古くは1988年、カルガリーオリンピックで、カタリナ・ヴィット選手とデビ・トーマス選手が女子シングルのFS(フリースケーティング)で同じ『カルメン』を使用し、『カルメン対決』と呼ばれ話題になりました。

また2002年、ソルトレイクオリンピックではエフゲニー・プルシェンコ選手がFSで『カルメン』を選び、超高難易度のシークエンスジャンプを成功させて銀メダルとなり、場内を沸かせました。

曲は『カルメン』の名曲を集めたアレンジで、『闘牛士の歌』の部分のエスカミーリョを彷彿させる演技は堂々としていて彼らしい魅力に溢れており、『ハバネラ』の部分では奔放なカルメンを見事に演じました。

安藤美姫選手は2007-2008シーズンのFSに『カルメン』を使用しています。最初の投げキスから終わり近くに刺されるところまで、カルメンの妖しい美しさを表現しきっています。全種類のトリプルジャンプが入っているのも見所です。

今シーズンでは、グランプリファイナルに出場した無良崇人選手がSP(ショートプログラム)で『カルメン』を使用しています。
冒頭の前奏曲の部分で、4回転とトリプルアクセルを入れ、筋力のあるジャンパーとしての彼の魅力を引き出しています。
メインは『闘牛士の歌』。衣装も闘牛士らしく、彼によく合ったプログラムとして高い評価を受けています。

またロシア杯で優勝を果たし、同じくグランプリファイナルに出場した本郷理華選手がFSに選んだのも『カルメン』。赤と黒の華やかな衣装で、まずは間奏曲の『アラゴネーズ』を華やかに舞い、『ハバネラ』では見事なステップを披露。エネルギッシュなスケーティングで観客を魅了しました。

バレエ、ミュージカル、映画……様々な『カルメン』

カルメンの映画は多く、実に20本近くあります。チャップリンもパロディ版の『カルメン』映画を作っているほど。

またミュージカルでは、チェコで評判になったフランク・ワイルドホーン作曲の『カルメン』が日本でも上演され、話題になりました。

ミュージカル・カルメン紹介

バレエでもたくさんの『カルメン』があります。中でもローラン・プティ版はたくさんのバレエ団で上演され、定番となっています。
プティ版では、本来カルメンが歌う『ハバネラ』でホセがソロを踊るという、おもしろい趣向が凝らされています。
最近ではKバレエカンパニーで、熊川哲也演出・振付の『カルメン』が世界初演され、評判を呼びました。

Kバレエカンパニー

オペラに足を運ぶもよし、またバレエや映画、観劇、オーケストラの演奏会など、『カルメン』を味わうチャンスはたくさんあります。
ぜひ一度、生で味わってみてくださいね。

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