バレエを観に行こう――陽気で楽しい『ドン・キホーテ』

バレエを観に行こう――陽気で楽しい『ドン・キホーテ』

バレエはしゃべらないからわかりづらそう、楽しめないのでは……。
そんな心配を吹き飛ばす演目、それが『ドン・キホーテ』です。

筋立てもはっきりしていて、なおかつ振付も派手で華やか。問答無用で楽しめるバレエ『ドン・キホーテ』の、あらすじと見所をご紹介しましょう。

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『ドン・キホーテ』って?

17世紀初頭に、スペインの作家セルバンテスが書いた小説。それが『ドン・キホーテ』です。
ロングセラーかつベストセラーの小説で、世界各国で親しまれています。

主人公は、騎士物語を読み過ぎて現実とフィクションの区別がつかなくなってしまった男、アロンソ・キハーノ。
自らを『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』と改名し、痩せ馬ロシナンテにまたがり、従者に小男の農夫サンチョ・パンサをつれて、騎士として世直しの旅に出ます。
また騎士には姫が必要と考えたドン・キホーテは、田舎の娘をドゥルシネーア姫として慕うことも決めました。


ドン・キホーテの思い込みで進む冒険の旅は波瀾万丈で、宿屋を城と思い込んで叙任式を頼んでみたり、風車を悪党の巨人と考えて突っ込んでいったり……。

主人公の勘違いがゆえに事件が起こるので、ドン・キホーテは道化であり、滑稽本という評価が最初は高かったようです。
が、徐々に騎士道への批判精神や、ドン・キホーテの感情を考えた悲劇的な解釈もされるようになっています。
つまり、それだけ幅が広く、懐の深い作品というわけですね。

バレエ『ドン・キホーテ』ってどんなお話?

実はバレエの『ドン・キホーテ』は、タイトルこそ『ドン・キホーテ』となっているものの、主役はドン・キホーテではありません。

原作では後篇に出てくる、富豪と意に染まない結婚をさせられそうになっている女性の話をふくらませ、原作の見所も取り入れてバレエにしたものです。

バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじ

プロローグ
騎士物語を読んだドン・キホーテは、物語の中の姫君ドルシネアを探して、お供のサンチョ・パンサをつれて旅に出ます。

第1幕
町娘キトリと、床屋のバジルは恋人同士。しかしキトリの父親は、バジルとの結婚に反対しています。

何とかキトリを金持ちのガマーシュと結婚させたい父親ですが、キトリはガマーシュに興味なんてありません。

闘牛士や踊り子がにぎやかに踊る町の広場に、ドン・キホーテとサンチョがやってきます。
ドン・キホーテはキトリをドルシネアと思い込み、キトリや町の娘たちと舞踏会のように踊ります。
そのどさくさの中で、キトリとバジルは駆け落ちを企てます。

第2幕
駆け落ちの途中、隠れているところを父親に見つかったキトリとバジル。バジルは狂言自殺をしてみせます。
それを見たドン・キホーテが父親に取りなし、ふたりを結婚させるように進言。父親も諦めて許すことに。

旅を続けることにしたドン・キホーテ一行が出逢ったのはジプシーの一団。人形劇を見せてもらううちに、ドン・キホーテは現実との区別がつかなくなり、風車を悪者と勘違いして突っ込んでいきます。

気を失ったドン・キホーテは夢を見ます。その夢ではドルシネア姫やキューピットが登場し、美しい踊りを見せてくれます。

第3幕
ついに結ばれた、バジルとキトリの結婚式が華々しく行われます。

バレエ『ドン・キホーテ』の見どころ

このバレエ全体が、実は見所の宝庫と言ってもいいかもしれません。ジプシーや闘牛士の踊りなど、情熱的なスペインの雰囲気が漂う、見ていてわくわくする振付が満載です。

その中でも、一番の見せ場はなんといっても第3幕の結婚式の場面でしょう。
振付がともかく華やかで、グラン・アダージオと呼ばれる導入のゆっくりした部分でも、女性を高く持ち上げるリフトや、キトリがバジルの手を借りずにバランスを取るなど、見得を切るかのような決め所がたくさんあります。
ふたりの踊りの締めとなるコーダの部分でも、キトリの32回転のグラン・フェッテやバジルのジャンプや回転など、見応えのある振りの連続。

またこのバレエは基本的にコミカルな場面が多いので、思わずくすっとしてしまうこともしばしば。
狂言自殺をしたバジルが、キトリの父親に結婚を許されてその場で跳ね起きてしまうシーンなどは、特に会場から笑いが漏れます。

いわゆるクラシックバレエ的な見所としては、ドン・キホーテが見る夢の場面が挙げられます。
ドルシネア姫はほとんどがキトリの二役で、奔放で勝ち気な町娘キトリと、美しい姫ドルシネアをどう演じ分けるか、バレリーナの実力が試されるところです。

その他のメディアで楽しむ『ドン・キホーテ』

小説とバレエだけでなく、『ドン・キホーテ』の魅力を味わえるメディアはまだまだたくさんあります。

クラシック音楽の『ドン・キホーテ』

バレエではミンクスが音楽を担当していますが、クラシック音楽で一番有名なのはリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ドン・キホーテ』でしょう。

独奏チェロをドン・キホーテ、独奏ヴィオラをサンチョ・パンサとして、ドン・キホーテが自分を騎士と思い込むところから、最後に故郷の村に帰って命を落とすところまでを、あざやかに音楽で表現しています。

映画・演劇の『ドン・キホーテ』



帝国劇場hpより

『ドン・キホーテ』を原作としたミュージカル『ラ・マンチャの男』もまた有名な作品です。
1965年にブロードウェイで初演されたミュージカルは、1972年に映画化もされ、日本では松本幸四郎主演の舞台としてヒットしています。

今年2015年には50周年を迎えるこの舞台を、東京では10月、長野と大阪では9月に楽しめます。


その魅力は色あせず、今もなお愛され続けている『ドン・キホーテ』。物語の持つ力を、いろいろな形で味わってみてくださいね。

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