お正月が近づき、初夢が気になる方も多いのではないでしょうか。
一概に初夢と言っても、一体いつ見る夢が初夢なのか、どんな初夢を見たら縁起が良いのか、いまいちよくわからないですよね。
こちらでは、初夢についてご紹介したいと思います。
いつ見る夢が初夢?
初夢で一番多い勘違いが、大晦日から元日にかけて見る、その年の最初の夢といえる夢を初夢と考えてしまうことです。
この夢は初夢ではありません。
元日から二日にかけて見る夢を初夢と考えるのが一般的です。
大晦日から元日は、新年を迎えるために眠らない人が多いので初夢とは言わないのです。
中には二日から三日にかけて見る夢を初夢ととらえる人もいるようです。
これは新年初の商売や行事を二日から始めることが多かったためと言われています。
しかし、これは一部の考え方です。やはり基本は、元日から二日にかけて見る夢が初夢です。
一富士二鷹三茄子
縁起の良い初夢として一番有名なのが、一富士二鷹三茄子ですね。
富士山か鷹か茄子が初夢の中に出てくれば、その一年が素晴らしいものになると考えられています。
では、それぞれの意味をもう少し詳しくみていきましょう。
古くから言われていることですし、俗説ですから、その起源にもいくつも説があります。
一番広く知られているのはおそらく、
富士は日本一の山、鷹は強く賢い鳥、茄子は物事を「成す」にかけている
というものではないでしょうか。
ですが、日本一と、鳥が強く賢いことと、物事を成すというかけ言葉が順位をつけて並べられているのも、ちょっとおかしな話ですよね。
じつはこの言葉、もとは徳川家康の領地、駿河国のことわざだと言われています。
家康公がある時、初ナスの値段の高いのに驚いて、
「まず一に高きは富士なり、その次は足高山(愛鷹山)なり、其次は初茄子」
と言った、と伝えられています。
もっと単純に、富士山・鷹狩り・初茄子を家康が好んだから、という言い伝えもあります。
さらに別の説では駿河の名物を並べたというものも。
富士山はいうまでもありませんね。
鷹は、当時富士山麓に棲息していた「駒帰」という唐種の鷹が非常に性能がよかったそうです。
そして茄子は駿河の名産で、出荷の早いことで知られていました。
ほかにも、
江戸時代の最も古い富士講組織の一つである駒込富士神社の近くに鷹匠屋敷があり、また駒込が茄子で有名であったことに発している
という説や、
富士は曾我兄弟の仇討ち(富士山の裾野でのこと)、鷹は忠臣蔵(四十七士の主君、浅野家の紋所が鷹の羽)、茄子は鍵屋の辻の決闘(伊賀の名産品が茄子)をあらわしている、
という説もあります。
ですがこれらはだいぶ時代が下ってからの話ですし、やはり順番には関係がありませんね。
やはりおおもと駿河に縁のある三つのものに端を発している、と考えるのが信憑性がありそうです。
一方で、富士は「無事」、鷹は「高」、茄子は「成す」に通じる、とそれぞれにかけ言葉もあります。
江戸っ子は洒落が大好きでしたでしたから、一富士二鷹三茄子にもそれぞれかけ言葉をあてはめたのでしょう。
そしてそれらが合わさって、今のように「富士は日本一、鷹は強い、茄子は『成す』に通じる」と言い習わされるようになったのではないでしょうか。
一富士二鷹三茄子の次は?
じつはこの言葉には続きがあります。
こちらにもいくつか説がありますが、知られているのは四扇五煙草六座頭(しせんごたばころくざとう)です。
扇は涼むだけではなく、舞踊や祭りに欠かせない小道具です。また、末広がりをあらわす縁起物としても有名です。
煙草はお酒と共に、祝い事や祭りなどの人が集まる場にはなくてはならないものです。
また、煙がまっすぐに空へのぼっていくことから、これも縁起物とされています。
座頭は琵琶法師の通称で、剃髪した盲人です。宴の場を盛り上げる存在で、坊主頭であることから「毛がない」=「怪我がない」に通じるとされていました。
良い初夢を見る方法は?
初夢は一年の吉兆を占うものと考えられているので、出来るだけ縁起の良いものを見たいですよね。
いい夢を見る方法として室町時代のころにはじまったのが、宝船の絵に「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)」という歌を書いたものを枕の下に入れて眠る、という方法です。
今でも、好きな人の写真や自分が見たい夢に関するものを枕の下に入れますが、その起源はこんなにも古くからあったのですね。
ですが、あまり初夢の縁起のいい悪いにこだわらず、リラックスした状態で眠りにつくことが一番良い夢を見るための近道かもしれません。
よい夢を見て、気持ちのいい一年を過ごしたいですね。