毎年元旦の恒例となっている華やかな演奏会、それがウィーン・フィルハーモニー交響楽団のニューイヤーコンサートです。
最近はテレビで全編が放映されていますから、ご覧になった人も多いのではないでしょうか。
うきうきするメロディの短い曲が立て続けに演奏され、いろいろな演出もあって、クラシックの演奏会とは思えないほどお祭り気分が楽しめます。
ニューイヤーコンサートの歴史
1939年に始まったこのニューイヤーコンサートは、毎年1月1日の正午に、オーストリア・ウィーンの楽友協会大ホールで開演となります。
当日は歴史ある美しいホールがたくさんの花で飾りつけられ、新春にふさわしい華やかさを醸し出しています。
指揮者は毎年、違う人が選出されます。
指揮者は楽団員全員の投票によって決められて、1月2日には翌年の指揮者が発表されるそうです。
日本人では小澤征爾さんが2002年に指揮を担当しました。
アジア人では歴代2人目です。
コンサートの曲と構成
ニューイヤーコンサートでは毎年20曲前後が演奏されます。
ほとんどがシュトラウス一家(ウィンナワルツの基礎を築いたヨハン・シュトラウス父とその子たち)やのワルツやポルカ、マーチなどを中心として構成されています。
それ以外では、たとえば2006年には生誕250周年を記念してモーツァルトの曲が、2009年には没後100年記念のハイドンの曲が使われるなど、開催年に応じた選曲がなされています。
曲によってはウィーン少年合唱団も登場し、美しいコーラスを響かせてくれます。
さまざまな楽しい演出
ニューイヤーコンサートでは心弾む明るい曲がたくさん演奏されますが、曲の内容に合わせたいろいろな演出が見る人を楽しませるのも、この演奏会ならでは。
指揮者が指揮だけでなく楽器を演奏したり、ホイッスルを鳴らしたり。
楽団員が、曲に合わせた扮装するをのはしょっちゅうのことで、観客も楽しそうに拍手喝采しています。
2012年には、ウィーン国立バレエ団のメンバーがドラマ仕立てのバレエを披露しました。
様々な趣向が凝らされています。
今度は何をやってくれるかと、毎年期待が高まりますね。
客席も参加するラデツキー行進曲
ニューイヤーコンサートのアンコールは大抵が3曲です。
1曲目はその年によって異なりますが、2曲目はワルツ「美しき青きドナウ」、そして3曲目は「ラデツキー行進曲」です。
ラデツキー行進曲では、観客全員が手拍子をします。
曲に合わせて勢いよく叩くところ、手を打たないところ、小さく……そして大きく。
指揮者が指示を出してくれますから、まるで客席全体がオーケストラに加わったような気分になれます。
その一体感も、このコンサートの醍醐味といえるでしょう。
日本のニューイヤーコンサート
最近では、日本でも各地でニューイヤーコンサートが開かれています。
こちらは元旦に限ってはいませんが、本家ウィーンフィルのコンサートと同じようにウィンナ・ワルツを取りそろえたり、オペレッタの名曲を取り上げたりと、楽しいプログラムになっています。
日本ではドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を取り上げるところも多いですね。
あなたも身近なニューイヤーコンサートを生で体験して、新年の祝賀ムードを満喫してみませんか?