DMMゲームズの刀剣育成ゲーム『刀剣乱舞』がサービスインして以来、ネットのあちこちで「審神者」という言葉を見かけるようになってきました。
『刀剣乱舞』ではプレイヤーは「審神者」という、一種の能力者となり、刀剣男子たちを率います。
では、実際の「審神者」とはどんな役割なのでしょうか。せっかくなので、少し調べてみました。
審神者(さにわ)とは
『刀剣乱舞』ゲーム内でプレイヤーは刀剣男士たちに「主」と呼ばれています。
そのため、審神者をなんとなく刀剣男士を召喚し、使役する能力者のように思っている人も多いのではないでしょうか。
審神者とは神道からきている言葉です。
もともとは神主や巫女に神(霊)が降りてきた際、その神と対話し、その神が何者であるかを見極めて、語られた言葉を解釈する役を果たす人物のことでした。
現代でも神道系の降霊術には審神者は重要な役割とされています。
また、スピリチュアル系のワーカーたちも、チャネリングなどで得た情報の真贋を見極めることを「審神者する」と言います。
審神者の語源
そもそも、「さにわ」は「沙庭」「清庭」「清場」などと書き、その文字のどおり、砂の敷かれた庭、清められた場そのものを指していました。
沙庭は帰神法、つまり降霊術を行う場のことを言ったのです。
古神道にといて、帰神は3人で行われるものでした。
神(霊)をおろす、霊媒の役をする神主、琴を演奏する琴奏者、そして、おりてきた神に問いかける審神者。
琴奏者を「さには」と呼ぶという説もあり、神道における降霊は神主と審神者の二者で行う、とすることもあるため、神主に降りた神に問いかける役と琴を奏でる役を兼ねる場合もあったのかもしれません。
審神者の役割
洋の東西を問わず、遊び半分のものから真剣なものまで、霊を呼び寄せて会話をしたり託宣を得ようとする試みは続けられてきました。
手軽なものとして有名なのは、いわゆる「こっくりさん」です。エンジェルさま、ウィジャ盤など、名前はさまざまですが、システムは一緒で「霊を呼んで会話をする」ことです。
「こっくりさん」遊びのほとんどは、本当には霊は呼べていないそうですが、それでも本当に霊が返事をする場合があります。
ですが、その霊の言うことが真実かどうかは、どうやって見極めればいいのでしょうか。
こっくりさんでやってきた霊に名前を尋ね、「アマテラスオオミカミ」と答えたなら、それは絶対にアマテラスオオミカミなのでしょうか。
たとえば、その霊が本当にアマテラスオオミカミであったとして、その神に、亡くなったおばあちゃんが最後に考えていたことを教えてくださいと尋ねて得られた答えは、本当に真実なのでしょうか。
これを判断するのが、審神者の役目なのです。
審神者は神主(霊媒)に降りた神(霊)に質問をします。名前を聞き、さまざまなことを問いかけます。
返答に嘘はないか、矛盾はないか。本当に、その存在が知っているはずのことなのか、信頼に足る返答なのか。
それを判断し、もし降りてきた霊が偽物であった場合、それをすみやかに霊媒から追い払います。
一部の神道系教団では、それが悪霊であった場合、その霊を浄化し高次の存在に変えて邪を払う役割も果たすそうです。
このように、審神者は降りた霊の真贋を見極め、場合によってはそれと戦うこともできるだけの知識と能力の両方を持っていなくてはなりません。
歴史に登場する審神者
日本書紀、神功皇后(じんぐうこうごう)記には、審神者が登場します。
仲哀天皇の崩御後、その妻であった神功皇后が神託を受けるにあたり、武内宿禰命(たけうちのすくねのみこと)に琴を弾かせ、中臣烏賊津使主(なかとみのいかつおみ)を喚して審神者とした、とされています。
この時の神託により、神功皇后は熊襲をたいらげ、朝鮮半島に出兵して三韓を従えたとされています。
仲哀天皇、神功皇后を祀る福岡県香椎宮の摂社である巻尾神社は中臣烏賊津使主を祀っており、そのため審神者神社とも呼ばれています。
香椎宮公式サイト → http://kashiigu.com/
『刀剣乱舞』における『審神者』
『刀剣乱舞』で、プレイヤーである『審神者』は、刀剣の想いを人の姿をとった付喪神として呼び出します。
それだけを見ると審神者の役割とは少し違うように思えますが、付喪神とはものに宿った霊です。
刀剣に宿った霊の声を聞き、その真贋を見定めて、現世へと伝える。
まさに審神者の仕事なのかもしれません。