バレエを観に行こう!――定番中の定番『白鳥の湖』

クラシックバレエを観てみたいけど、何を観にいけばいいのかわからない……。
そんなふうに思っているかたは多いのではないでしょうか。

バレエの演目で一番ポピュラーなのは、『白鳥の湖』。
今日はそのあらすじと魅力をご紹介したいと思います。

クラシックバレエの王道『三大バレエ』

一般的に『三大バレエ』と言われるのは、チャイコフスキーが作曲した『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『眠りの森の美女』の3タイトルです。
それぞれの個性的なストーリーをチャイコフスキーの美しい音楽がさらに盛り立て、ロマンティックな物語世界を創り出しています。

中でも『白鳥の湖』は、白鳥の優雅さをバレエで見事に表現した傑作です。
人気演目だけに公演もたくさんあり、どのバレエ団を見ようか迷うのもまた楽しいものですね。
それでは、あらすじや見所を見ていきましょう。

静謐な世界の美しさ『白鳥の湖』

オーボエが奏でる悲しげなテーマ、四羽の白鳥のちょっと風変わりなメロディ。『白鳥の湖』は誰もが耳にしたことのある名曲揃いです。
白鳥の羽を思わせるチュチュ(バレエの衣装)や、羽ばたくような振付も特徴的です。

『白鳥の湖』あらすじ

まもなく成人を迎える王子ジークフリートは、翌日の舞踏会で花嫁を選ぶよう言われますがその気になれずにいます。
気晴らしに白鳥狩りに出かけ、射ようとすると、一羽の白鳥が美しい娘に変わります。

娘は、自分が白鳥の女王のオデット姫であり、悪魔ロットバルトによって白鳥の姿に変える呪いをかけられ夜だけしか人間に戻れないのだと告げます。
青年がオデットだけに永遠の愛を誓えば呪いは解けると聞き、オデットに心を奪われたジークフリートはそうすると心に決めます。

翌晩の舞踏会、オデットが忘れられずにいる王子。そこへオデットそっくりの娘(黒鳥)が現れ、王子は永遠の愛を誓ってしまいます。
が、それは悪魔ロットバルトの娘オディール。だまされた王子は、オデットのいる湖へと向かいます。

裏切りに悲しむオデットに、王子は許しを請います。そこへロットバルトが現れて……。

この後、ハッピーエンドを迎える版もあれば悲劇の結末もありと、エンディングは様々です。
自分の好みのエンディングや演出を見つけてみてくださいね。

『白鳥の湖』の見どころ

バレエ的な魅力でいえば、何といっても舞踏会の黒鳥とのパ・ド・ドゥでしょう。振付もとても派手で、バレリーナの有名な32回転も見られます。
それに男性ダンサーも高い技術力の見せ所。

オデットとオディールは同じバレリーナが演じるのが基本で、純真なオデットと妖艶なオディールという演じ分けが非常に難しいとされています。
(ごくたまにオデットとオディールを別のバレリーナが踊るバージョンも見られます)

そして幻想的な美しさを見せる、湖の白鳥たちの踊りも見逃せません。
4人のバレリーナが手をつなぎあって踊る、「小さい白鳥の踊り」はCMなどで見たことのあるかたも多いのではないでしょうか。
白鳥の女王であるオデットの堂々たるソロも魅力的です。

いっそう物語が楽しめる『マイム』って?

版にもよりますが、白鳥の湖はマイムも多用されます(特にロイヤルバレエ版)。
バレエでは言葉が使われないので、『マイム』といわれる身振りや手振りが言葉の代わりとなり、特定の意味を持ちます。

『白鳥の湖』に出てくる代表的なマイムには、次のようなものがあります。

  • 両腕をくるくると頭の上で回す=踊る
  • 頭の上に何かを掲げるように持つ仕草=王冠
  • 左手を左胸に、右手の人差し指と中指を揃えて天を指す=誓う
  • 差し出した左手の薬指を右手で指し示す=結婚
  • 心臓を両手で抱きしめるような仕草=愛している
  • このマイムは『白鳥の湖』に固有のものではなく、どの演目でも同じ意味を持ちます。

    マイムを知らなくても、ダンサーたちの身振り手振りや表情でだいたいのお話の流れはわかりますが、知っているとストーリーが理解しやすくなります。

    こんな白鳥も? グランディーバとマシュー・ボーン、映画『ブラックスワン』

    長い間踊り継がれ、よく知られている『白鳥の湖』だからこそ、新しい試みもいろいろとされています。
    その中でも高い評価を受けているもうひとつの『白鳥の湖』をご紹介しましょう。

    グランディーバ バレエ団

    『グランディーバ バレエ団』は1996年にニューヨークで誕生した、男性のみのコミックバレエ団。何度も来日し、日本でもすっかり知られていますね。
    男性がチュチュを着てプリマを演じますが、中でも『白鳥の湖』はその腕の動かし方やトゥのさばき方など本当に見事。一見の価値ありです。

    マシュー・ボーン『白鳥の湖』

    今やこちらも定番となった、マシュー・ボーンの演出の『白鳥の湖』。
    クラシックバレエをまったく新しい解釈で塗り替えて話題となり、たくさんの賞も受賞しています。

    白鳥の衣装もクラシックチュチュとはまったく違い、上半身は裸、下半身に白鳥の羽を思わせるものを巻いたような独特の姿。
    さらにストーリーもまったく違い、王子も白鳥も男性であり、同性愛者の悲恋を描いた非常に独創性の高い作品です。

    映画『ブラック・スワン』

    2010年に公開された映画『ブラック・スワン』は、白鳥の湖の主役に抜擢されたバレリーナが主人公です。
    バレリーナが白鳥と黒鳥を演じ分けるプレッシャーに押しつぶされ、徐々に追い詰められ精神を壊していくというサスペンス映画。
    『白鳥の湖』に秘められた影の部分や、エロティックな一面も見られ、日本ではR15作品として公開されました。

    クラシックバレエだけでなく、さまざまな解釈のできる『白鳥の湖』。
    ぜひいろいろな角度から楽しんでみてくださいね。

    三大バレエのひとつ、『くるみ割り人形』のご紹介はこちら

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