梅雨が明ければ夏も本番。
うだる暑さに体力も落ちてしまいがち。
そういう時こそ、きんきんに冷えたビールをきゅーっといきたいですよね。
ですが、冷たい飲み物などをとりすぎるのもじつは夏バテのもと。
じつは熱い飲み物のほうが、この時期の体にはいいのです。
冷たいものは夏バテの原因?
暑い季節は、ついつい冷たいものに手がのびます。
食欲もあまりなくて、さっぱりしたものが食べたくて、
食事もそうめんなどの冷たいものが増えますね。
3.11以降、エネルギー不足が叫ばれて、節電のために冷蔵を使わず、
そのぶん冷たいものをとって暑さをしのごうという人もいるそうです。
ですが、じつはこの、冷たい飲み物や食べ物が、胃腸の不調にひと役買っているのです。
冷たいものを食べすぎておなかをこわした経験は、一度や二度はあると思います。
原理は同じことで、冷たいものは内蔵にはあまりよくないのです。
冷たい飲み物やさっぱりした食べ物を多くとると、胃液が薄まり、胃腸や内蔵が冷えます。
内蔵が冷えると消化吸収能力が落ち、食欲がなくなり、免疫力なども落ちてしまいます。
これが続くことで体は栄養を吸収できなくなり、夏バテになってしまうというわけです。
夏の風物詩?暑気払い
オフィス勤めだと、梅雨から真夏にかけてのころに
「暑気払い」が開催されることがあります。
この暑気払い、現代ではすっかり飲み会の一種という位置づけになっていますが、
もともとは、冷たいものや体を冷やす効果のある食べ物や飲み物、漢方や薬などをとって、
体にたまった熱気を取り除くことを言います。
必ずしも冷たいものでなく、むしろ薬湯のようなものを飲むことが多かったようです。
そもそも冷蔵庫が一般に普及したのはこの数十年。
昔は夏に氷が食べられるのはごく一部の限られた階級
江戸時代から明治にかけては、びわと桃の葉を煎じた「枇杷葉」という飲み物が
暑気払いにいいとして辻売りされていました。
そのほか、関西では「松蔭」、関東では「直し」と呼ぶ、みりんに焼酎を加えた
「本直し」も暑気払いに飲まれていました。
現代の夏は冷えに注意
また、現代では夏はむしろ冷えと戦う人も、とくに女性には多いですね。
節電が叫ばれていますが、オフィスの冷房は設定温度が低めのところは
今でも多いようです。
そもそも、人間の体温は36度から37度。
体表の温度は25~26度です。
汗をかいて、それが蒸発することで体を冷やして体温の調節をしています。
暑いから早く体を冷やそうと冷房を強くすると表皮の温度が下がりすぎて、
体は汗をかくのをやめてしまいます。
体表付近の血流を減らし、熱を逃がさないように調節するのです。
この状態で外へ出ると今度はまた暑くて放熱をするように調整をしなおさなくてはなりません。
冷えだけでなく、この繰り返しで体力を消耗して疲れてしまうのです。
さらに暑いから、これ以上汗をかきたくないからと冷たいものばかり飲んでいると、
また体が冷えて……という悪循環に陥ってしまいます。
熱いお茶で冷えを防ごう
昔から、暑い時にこそ熱いお茶を飲むといい、と言われています。
暑い時期に熱いものをとるなんて、と思いがちですが、じつは熱いものは暑い時期には体にいいのです。
熱いものをとると、汗をかきます。その汗が蒸発することで体表温度が下がり、結果として体が冷やされます。
内臓を冷やす心配もありませんし、むしろ内蔵をあたためることで臓器の活動が活発になり、むくみがとれたり、疲労回復にも役立ちます。
いくつか、夏に飲むのにいいお茶をご紹介しましょう。
ハイビスカス
クエン酸を含むので疲労回復やむくみに役立ちます。
ペパーミント
ミントの清涼感はほてりをしずめ、気持ちをリフレッシュさせてくれます。
ローズヒップ
ビタミンが豊富なので疲労回復に役立ちます。
緑茶
体を冷やす効果があります。
ほうじ茶
緑茶を焙煎した時に生まれるピラジンという成分が血流を促し、冷えや肩こりを改善します。
冷たいものは内臓に悪いといっても、暑い時にはどうしても冷たいものがほしくなりますよね。
あまり神経質になりすぎず、たとえば外から室内に入った最初の1杯は冷たいものを飲んで、
2杯めからは熱いお茶にするなど、
冷たいものと温かいものを両方取り入れて夏バテせずに夏を乗り切りたいですね。