朔旦冬至というものをご存知でしょうか。
朔旦冬至というのは、冬至の日が新月の日のこと。
そして今年、2014年は19年ぶりの朔旦冬至なんだそうです。
冬至は古くは1年のはじまり
そもそも冬至が「1年で一番、昼が短い日」であることはみなさんご存知だと思います。
かつて冬至は1年のはじまりの日とされていました。
地軸の傾きの関係で、夏の太陽は高い位置にあり、冬の太陽は低い位置にあります。
だから冬の太陽はのぼるのが遅く、沈むのが早い。
昔は日時計を使っていましたから、夏から冬になるにつれて、影の一日の最大の長さが長くなっていくわけです。
つまり、もっとも太陽の低い冬至が、一番影が長くなって、そしてそこを堺にまた少しずつ影は夏至に向けて短くなっていくターニングポイントになるのです。
そこで、旧暦ではその日を新年とすることにしていました。
一番太陽の光が弱い、その先は強くなっていくいっぽうの日を一年の起点とするのはとても自然な考え方だと思いませんか。
一陽来復なんて言葉もありますね。
新月もまた、新しい月の1日め
一方、もう一つ私たちの生活になじみの深い暦の単位といえば、「月」です。
これはもう言葉の通り、月の状態をもとにして暦の単位が決められています。
最も月の光が弱く、これから新たな満月に向けて踏みだそうという日を、新しい月が生まれた、と考えて新月と呼ぶわけです。
この1日めを、朔日と呼びます。
「朔」とは新月のこと。朔日というのは新月の日のことです。
また、「朔」は「はじめ」とも読みます。
これもまた、新月が新しい月の最初の日であると広く認識されていた証拠ですね。
そして、旦は「元旦」などでもおなじみのように、朝や夜明け、太陽がのぼってくるさまを表す漢字です。
朔旦冬至は19年に一度
その、冬至と新月=旦と朔は、旦がおよそ365日、朔がおよそ30日で訪れるため、めったには重なりません。
その周期は19年に一度。それが今年というわけです。
太陽が新しく生まれるのと月が新しく生まれるのがダブルでやってくるわけですから、昔はとてもおめでたい日とされて、宮中では宴などが催されたりもしたそうです。
さまざまな調整の結果、今では冬至は旧暦11月1日となっています。
厳密にはもう暦の上での新年ではありませんが、それでもなんだかそう聞くとすごく特別な感じがしますよね。
冬至の過ごし方
冬至は、たとえ月のはじめの日であろうとも1年で一番太陽の光が弱い日です。
単純に考えれば1年で一番寒い日。
あたたかく過ごしたいものです。
もちろん暖房に頼るという手はありますけれど、せっかくですから冬至にするとよいとされていることをして、冬を元気に乗り切るはずみをつけるのはどうでしょう。
かぼちゃ
冬至にかぼちゃを食べるのは、割合と知られていますね。
かぼちゃは栄養が豊富で保存もきくので、真冬にビタミンや栄養をたっぷりとれる嬉しい野菜です。
そのほかに、かぼちゃを切った断面図が太陽のように見えることから、縁起物ともされています。
また、冬至の日には「ん」のつくものを食べると「運」が呼び込めてよいともされています。
かぼちゃは「ナンキン」です。
ほかにもにんじん、だいこん、れんこん、うどん、ぎんなん、きんかん、など。
んのつくものを「運盛り」と言って、運を呼びこむ、これも縁起物です。
「いろは」が「ん」で終わることから、これもまた冬至と同じく、「ん」で終わって次に新しい運を呼びこもうという、一陽来復の意味がこめられているわけです。
小豆がゆ
もう一つ、冬至に食べるとよいとされているのが小豆がゆです。
かぼちゃほどは有名ではないかもしれませんね。
冬至がゆとも呼ばれる小豆がゆは、文字どおり小豆を入れて炊いたおかゆのことです。
小豆の赤は太陽を意味します。魔除けの色でもあり、小豆がゆを食べて厄祓いをします。
柚子湯
こちらは食べ物ではありませんが、やはり冬至といえば出てくるもの。
柚子をまるごとお風呂に入れて、ゆっくりとつかります。
柚子には血行を促進して冷えをとり、体を温める効果があり、また、クエン酸やビタミンも多く含まれているため、美肌効果もあります。
そして香りもいい!
もともとは、新しい年を迎えるにあたって身を清めるためのみそぎに使ったそうです。
柚子は冬が旬なので強い香りを放ちます。
香りの強いものは邪気をよせつけないとされていたのです。
また、柚子は融通に通じ、冬至はこちらは湯治にかけて、やはりこれも縁起物として冬至に柚子湯は縁起がよいとされるようになりました。
今年の冬至は12月22日
今年の冬至は12月22日です。
小豆がゆとかぼちゃでしっかりビタミンをとって邪気を払い、柚子湯でしっかり全身あたたまって新しい年にそなえたいものですね!